私の父はある医療機関で治療を受けていますが、むしろ症状は悪くなっているように思えます。きちんとした治療がされているのか確かめるためにカルテの開示を求めることはできるでしょうか?また、父が亡くなってしまったらカルテの開示を求めることは出来なくなってしまうのでしょうか?

 

 

 お父様ご本人は、個人情報保護法に基づいて医療機関に対してカルテの開示を求めることができます。カルテの開示を求める理由を示す必要もありません。また、単にカルテを見せてもらうだけではなく、コピーの交付を求めることもできます。医療機関は、患者本人からの請求に対しては、原則としてカルテ開示を拒むことはできません。しかし、これはあくまでも患者本人の権利です。たとえご家族からの請求であっても、患者本人の同意を得ずに、カルテを患者以外の第三者に開示することは秘密漏示罪に該当するおそれがあります。ですので、あなたがお父様の意思を確認せずにカルテの開示を請求しても、医療機関はカルテを開示しないでしょう。
 お父様が亡くなった場合ですが、厚労省個人情報ガイドライン等では、亡くなった患者の配偶者や子などから説明を求められた場合、医療機関は死亡に至るまでの診療経過や死亡原因等について情報を提供すべきとしており、遺族からのカルテ開示に応じる医療機関も多いと思います。ただ、個人情報保護法は生存する個人の情報を対象としていますので、医療機関には遺族からのカルテ開示請求に応じるべき法的な義務まではないという見解が有力です。そのため、遺族間のトラブルに巻き込まれることを恐れて、カルテ開示に応じない医療機関もありますし、裁判所や弁護士会などの公的機関を通じて請求があった場合にのみ開示に応じるとする医療機関もあります。まずは遺族としてカルテ開示の請求してみて、開示に応じてもらえない場合は、その理由を確認した上で対処法を弁護士にご相談されるといいでしょう。