田原弁護士(生前のように「田原さん」と呼ばせていただきます)は、弁護士仲間や私立学校の教職員から瞬間湯沸かし器と呼ばれていました。裁判所や労働委員会で私立学校の経営者が不公正な態度を取った時、田原さんが誰よりも早く立ち上がり、異議を述べたからです。
そんな田原さんでしたから、反応の鈍い後輩にしばしば苦言を呈していましたが、後に後輩が田原さんより先に立ち上がり異議を述べるようになったのを見て、満足げに笑みを浮かべていたのを昨日のことのように思い出します。
田原さんは90才を超えても現役弁護士として法廷に足を運び、後輩に負けず鋭い異議を元気に述べていました。剣道仕込みの背筋の伸びた立ち姿には、年齢を感じさせない凜々しさがありました。飼い猫や甘い物に相好を崩していた田原さんとは違う、闘う弁護士の姿でした。
私達はこのような田原さんの姿を胸に焼き付けて、弁護活動に精進したいと思っています。