私はある会社を経営しています。先日、Aさんから、セクシュアル・マイノリティであることを告げられました。私はセクシュアル・マイノリティについての知識がありませんが、今後、会社として、どのような対応が必要になるでしょうか。
 
回答者:弁護士 服部 咲
 
 セクシュアル・マイノリティとは、一般的に生物学的性と性自認*1に違和感のある人、恋愛や性行動などの性的指向が同性(両性を含む)である人、生物学的性が男・女の両者に馴染まない人達の総称として用いられています。最近では、「LGBT」*2という用語が使われていますが、性のあり方は多様なので、LGBTに必ずしも分類できるわけではありません。本稿では、字数の関係でLGBTと称して回答をしていきます。
 さて、今回の相談内容ですが、会社として、Aさんを理解することから始めましょう。ホモ・レズ・オカマ・オナベは、当事者に対する差別用語に該当するので注意が必要です。ある調査によると、LGBTは5%存在するといわれています。最近では、新人研修・人事研修・管理職研修等で、LGBTに関する基礎的な知識を学び、面接時や勤務時に当事者が存在した場合の対応を身につけたり、就業規則にLGBTに対する差別禁止を盛り込んだり、福利厚生の各種手当てを同性カップルにも適用する企業も存在します。あなたの会社もこのような具体的な取り組みを始めてみてはいかがでしょうか。
 また、費用がかかりますが、LGBTが利用できる更衣室や、「誰でもトイレ」(性別関係なく使用できるトイレ)の設置の検討も必要かと思います。
 このような取り組みは、LGBT、女性、障がい者、外国人等々が働きやすい労働環境を作ろうというダイバーシティ(多様性)に関連します。
 企業がダイバーシティに取り組むことは、誰もが働きやすい職場を作ることに繋がっていきます。是非、あなたの会社でも、LGBT当事者である従業員に対する理解を深めると共に、この機会に誰しもが働きやすい職場環境作りに取り組んでみましょう。
 

1 自らの性をどのように認識しているか(男性・女性・それ以外等)

2 LGBTとは、レズビアン(女性同性愛者)・ゲイ(男性同性愛者)・バイセクシュアル(女性も男性も性的対象となる人)・トランスジェンダー(性別越境者)の頭文字をとった言葉です。