父が死亡し、相続人は兄と私と妹の3人です。父と同居し療養看護をしていた兄が、「寄与分」があるので、私や妹より遺産を多くもらう権利があると主張しています。そのような主張が認められるのでしょうか。

 

 

 民法904条の2は「共同相続人中に、被相続人の事業に関する労務の提供又は財産上の給付、被相続人の療養看護その他の方法により被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした者があるときは、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額から共同相続人の協議で定めたその者の寄与分を控除したものを相続財産とみなし」て相続を行い、寄与した相続人はその相続分と寄与分とを加えた額を相続するとし、協議が整わない場合は家庭裁判所が審判すると規定しています。
 寄与分の制度が法律で定められたのは昭和55年ですが、その前から寄与を認める例が現れ、法律の改正が行われたのです。法律が制定された以降、家庭裁判所での寄与分の申立件数は飛躍的に増大しています。司法統計上寄与分を求める調停申立件数は、昭和60年に154件に過ぎなかったのが、平成24年には847件に増大しています。
 ところで条文を見ればわかるように、寄与分には次の4つの類型があります。

  1.  第1は家業従事型で、相続人が被相続人の事業に無償ないし低い報酬で働いている場合に、適切な報酬との差額分が寄与分として認められます。
  2.  第2は金銭等出資型で、相続人が収入を提供し相続財産の維持増加がなされている場合に、維持増加分が寄与分として認められます。
  3.  第3は療養看護型で、療養看護をしている場合には看護費用相当額が寄与分として認められます。
  4.  第4は扶養型で、相続人が被相続人の生活費を負担し、相続財産の減少を防ぎ財産が維持できた場合に、寄与分が認められます。

 お兄さんはそのうち療養看護型の寄与分を主張しているのです。
 療養看護型の寄与分の場合、通常期待されている程度を超えた看護かどうかという点が問題になります。そこで療養看護の実態を出し合い話し合うことが必要です。そしてどうしても協議が整わないときは家庭裁判所の審判に結論を委ねることになります。