私は30代の専業主婦です。最近法律が改正されて、主婦では借り入れができなくなると聞きましたが、急な入り用の時には困ってしまいます。すでに利用しているカードでの借り入れなども、すぐに返済しなければいけないのでしょうか。

 

回答者:弁護士 松川邦之

 

 2010年6月18日の改正貸金業法の完全施行により、貸金業者による個人向け貸付について、貸金業者に貸付の総量規制が課され、利用者は原則として年収の3分の1を超える借り入れはできなくなりました。

 これは、複数の貸金業者から借入をする場合でも合算して年収の3分の1を超えると新規の借入はできなくなるものですが、銀行はこの規制の対象外なので銀行からの借入・カードローンは規制に含まれず、住宅ローン・自動車ローンなども含まれません。また、クレジットカードのキャッシング利用はこの規制枠に含まれますが、ショッピング利用はこれに含まれません。

 一定額以上の新規の借り入れをする際には貸金業者は利用者の年収を調査する義務を課されますので、利用者は源泉徴収票や年金証書など年収等を証明する資料の提示を求められることになります。

 夫婦(内縁を含む。)の場合、総量規制の例外として、配偶者と合算し2人分の借入が夫婦合わせた年収の3分の1になるまで借入をすることができます。その場合は、配偶者の年収を証明する源泉徴収票等及び婚姻(内縁を含む。)関係を証明する住民票等を提出する必要がありますので、配偶者に黙って借りることはできません。主夫・主婦の方はこのルールを利用して借入をすることができますが、手続の複雑さからこのような取扱を受け付けない業者も多いようなので、年収のあるご本人が借入に行く方がいいかもしれません。

 お尋ねの点ですが、上記規制がされるのは2010年6月18日以後の借入なので、現在既に借入が年収の3分の1を超えている場合でも繰り上げて返済をしなければいけなくなるものではありません。また、緊急の医療費の必要からの借入等も規制の例外になっています。

 規制により借入ができない場合、違法なヤミ金業者に手を出すのは大きな不幸を招くことになるので絶対にやめ、その場合は生活や借金の体制を見直すタイミングと考えましょう。

 また、長期間、特に6~7年以上も返済している方は法律上既に完済し、過払いとなってお金を取り返せる可能性もありますので、一度専門家に相談されるといいでしょう。