事務所の創立メンバーの1人でもある新井章弁護士が、本年1月27日94歳で天寿を全うされました。先生は既に退所されていましたが、60年近くの長きにわたり事務所のリーダー的存在として活躍されました。
新井先生の業績の中でも特筆すべきは、様々な憲法問題に関する重大事件に関与されたことです。砂川事件、長沼ナイキ事件、百里基地(憲法9条)、朝日訴訟、堀木訴訟、生存権訴訟(憲法25条)、東京都教組事件、全農林警職法事件(憲法28条)、そして3次にわたる家永教科書裁判(憲法21条、23条、26条)等々、憲法を学ぶ者にとってはいずれも無視できない重大事件を理論的支柱として支えてこられました。私自身は、このうち家永教科書裁判の弁護団の一員として末席を汚させてもらっただけでしたが、30年以上に及ぶ長期裁判の中でも一貫して弁護団の議論を牽引された先生の姿に(原告家永先生の孤高の姿勢とともに)感銘を受けたことも度々ありました。
事務所が開所20年目に発行した書籍は『憲法理念の実現をめざして』と題する論文集でした。時代は大きく変わりましたが、我々後輩は、新井先生が体現されたこの事務所設立の理念の継承をどう果たすかをこれからも検証し続ける義務があると考えています。
憲法理念を追い求めた新井先生
追悼 新井章弁護士
カテゴリー:追悼