選挙権年齢を18歳に引き下げる法改正があり、来年の参院選から実施されます。戦後70年ぶりの改革ですが、憲法改正手続法で国民投票の権利を18歳以上と定めた際、選挙権年齢や民法の成年年齢などとの均衡を検討するとされたことに対応するものです。
 今回の改正は、国会議員や地方議会議員などの選挙権年齢の引き下げで、被選挙権は25歳と30歳のままです。一定の社会的役割を期待され、衆議院議員選挙権と連動して定められた、検察審査会の審査員や裁判員は当分の間20歳未満を除外し、民生委員や人権擁護委員は未成年者を除外します。
 また付則に、民法の成年年齢や少年法の年齢も検討するとあり、権利には責任が伴うとして選挙権に揃えて引き下げる動きがありますが、次のような問題があります 。
 成年年齢を引き下げると、 18歳・19歳の人も、親の同意なく高価な買い物や結婚ができることになります。子どもシェルターでは、親の同意なしにアパートを借りたり携帯電話契約ができず、自立の障害になることもあります。他方で、引き下げにより同意のない契約の取消しという消費者被害からの救済手段がなくなるのも困ります。
 また、この年齢の少年は、今でも刑事処分で死刑を含む刑罰を受けており、軽い罪や初犯でも鑑別所で要保護性を調べ、少年院や保護観察での教育がなされていますが、大人と同じ扱いになると、起訴猶予や執行猶予で何の刑罰や教育的措置も受けずに済んでしまうことが出てきます。
 公営ギャンブルの制限は成年年齢に連動しますが、年齢で禁ずる酒・タバコは青少年の発達に応じた配慮だとして、変更はしないようです。
 少子高齢社会で若者の意見を政治に反映させる必要性や、憲法改正国民投票の準備の都合から生まれた選挙権年齢の引き下げで、成長発達途上の若者がちぐはぐな立場に置かれることになるのは腑に落ちません。