私はある会社の事務員ですが、契約期間は1年で何回も契約を繰り返し、働きだして10年になっています。
 ところで先日会社から、仕事が少なくなったので期間がきたら契約はしないと言われました、契約期間のある契約なのであきらめなくてはいけないのでしょうか。

 

 

1 「雇い止め」は自由ではない

 新聞などに載ってご覧になったことがあると思いますが、我が国の多くの労働者が、期間のある労働者(「有期雇用労働者」といいます。)や、派遣労働者などの「非正規労働者」として働いています。
 統計によると、労働者全体の3分の1、女性労働者や青年労働者の場合は2分の1以上も「非正規労働者」が占めているといわれています。
 こうした中で「有期雇用労働者」の多くは、臨時的な仕事や、「景気の調整弁」のために雇い入れられるのではなく、企業が恒常的に雇い不可欠な役割をにない、正規労働者と同様の仕事をし、何度も契約を繰り返し(「契約の更新」といいます。)働いています。
 こうした実態を踏まえて、多くの裁判例が、「有期雇用労働者」の「契約の更新」をしないこと(「雇い止め」といいます。)が、認められない場合があることを認めています。

2 「雇い止め」が違法である場合とは

 最高裁は昭和49年7月22日の東芝柳町工場事件で、有期雇用労働者でも、自動的に契約の更新がおこなわれていて、期間の定めのない労働者と異ならない状態であった場合は、「雇い止め」には、「解雇」の場合と同様に正当事由が必要であると判断しました。
 また最高裁は昭和61年12月4日の日立メディコ事件で、「季節的労務や特定物の製作のような臨時的作業のために雇用されるものではなく、その雇用関係はある程度の継続が期待されていたものであり、…5回にわたり契約が更新されているのであるから、このような労働者を期間満了によって雇い止めにするに当たっては、解雇に関する法理が類推され」、解雇権の濫用にあたる場合は雇い止めをしても、契約は更新しているとみなされるという高裁の判断内容を認めています。

3 使用者に権利主張を行いましょう

 あなたの場合、最高裁判決等の原則からいえば、「雇い止め」が違法で、契約関係の継続を使用者に主張できる可能性は十分あります。
 労働組合に相談したり弁護士等と相談し、交渉を行ったり、紛争解決機関に申し出をおこなったり、労働審判や労働裁判をおこし、使用者に権利主張をしましょう。