私は、マンションの一室を賃料8万円で借りていて、賃貸借契約を更新したいと考えています。最近、ニュースで、更新料の条項は無効との判決が出されたと聞いたのですが、更新料は支払わなくてもいいのでしょうか?
 ちなみに、私のマンションの賃貸借契約の内容は、賃貸借期間2年、賃料1か月8万円、更新料8万円(賃料1か月分)となっています。

 

回答者:弁護士 船江莉佳

 

 ご指摘の判決は、2009(平成21)年8月27日に大阪高等裁判所で出された判決ですね。この判決は、高裁レベルで初めて、建物賃貸借契約を更新する際1年毎に賃料2か月分を超える更新料を支払う旨の条項が、消費者契約法に反し無効であると判断したことから、話題となりました。

 そもそも更新料とは、賃貸借契約が更新される際に、更新の対価として支払われる一時金のことといわれています。民法や借地借家法には更新料についての規定はありませんが、賃貸借契約に更新料の支払いの合意(更新料支払特約)がある場合には、原則として更新料の支払義務が発生します。

 もっとも、どのような内容の更新料支払特約でも有効というわけではなく、裁判例をみると、更新料が高額な場合には上記特約の有効性が否定される傾向にあるようです。たとえば、更新料の支払を2年毎に賃料1か月分とする更新料支払特約を有効とした裁判例がある一方で、更新料の金額を賃料の3か月分と定めた事案(賃貸借期間は不明)では、賃料の2か月分を限度として更新料支払特約を有効としたものもあります。

 前述の大阪高裁の判決の事案は、1年毎に賃料2か月分を超える更新料を支払うというもので、更新料が高額であるということも判決理由で指摘されている一方、同じく大阪高裁で、更新料の支払を2年毎に賃料約2か月分とする更新料支払特約を有効とする判決も出されています(2009(平成21)年10月29日)。

 ご相談の件は、2年毎に賃料1か月分の更新料を支払うというものですから、これまでの裁判例の傾向からすると、更新料を支払う必要がありそうです。もっとも、上記2件の大阪高裁の判決はいずれも上告されていますので、最高裁の判断次第では全く結論が変わる可能性もあり、目が離せません。