銀行のキャッシュカードの偽造や盗難カードによる被害の報道が目立ちます。被害にあったときにはどのような法律的な保護があるのでしょうか。

 

 

 銀行ATMはコンビニ等にも設置され、キャッシュカードでの現金の出し入れは極めて便利なものとなっています。しかしその便利さも、カードの盗難等にあったら容易に引き出しがされてしまうという危険性と背中合わせのものです。

 これまでは盗難の被害にあってカードで預金を下ろされた場合、被害者である預金者の保護は必ずしも十分なものではありませんでした。民法478条は債権の準占有者に対する弁済を有効とする規定ですが、銀行実務はこの規定により正規のカードを利用し正しい暗証番号が入力されている以上(なりすまし)、預金者としての外観を有しているので支払い(弁済)は本来の権利者に対する弁済と同視できるという扱いをし、裁判例もこのような銀行実務を基本的に認めてきたからです。ところが、盗難・偽造カードの被害が多発して社会問題化したため、昨年10月に預金者保護法(略称)が成立し、本年2月から施行されることとなり、これにあわせて銀行実務も大幅に変更されました。

 預金者保護法は、ATMでの払戻しが偽造カードで行われた場合には原則として民法478条の適用を排除し、払戻しを無効なものとするとともに、盗難カードによる被害の場合は銀行等が免責される場合を大幅に制限し、預金者が一定の要件を満たせば銀行等に対して損害の填補を請求することができるとしました。この場合預金者に過失があると認められても4分の3までの填補額が認められます(重過失の場合のみ銀行は免責される。)。

 この法律の施行に先立ち、銀行業界は、カード取引約款のモデル規定を改定し、預金者保護法の趣旨を約款に盛り込むとともに、預金者に填補請求権が認められない過失や重過失の具体例を定めました。預金者側に暗証番号の管理やカードの管理にどの程度の落ち度があったかどうかにより、重過失、過失の有無が決められます。暗証番号をカードに書いたり、他人に教えたりなど、明らかに無用心な場合が重過失とされ、容易に他人に知られるような暗証番号を使用したり、カードの保管方法に落ち度がある場合が、過失があるとされますので、ご注意ください。