弁護士 斉藤 豊

 パンデミックという単語にはこの世の終わりのような語感があるので、WHO の事務局長の口からこの言葉を聞いたときは驚きました。感染爆発を扱った小説や映画は数多く、パニック物の定番です。

 「パニック」は開高健の出世作で、鼠の大量発生による伝染病の暴発を予兆する物語。コロナがはやる前にこの小編を読み返す機会があり、ついでにカミュの「ペスト」を再読しました。コロナ禍に「ペスト」という名のもう一つの小説があることを知り読んだのがロビンソン・クルーソーの作者デフォーの作品。17世紀ロンドンで猖獗を極めたペストの流行を描いたもので、人口の6分の1が病に倒れた当時の状況を描いています。ジュード・ロウも出ている「コンテイジョン」という映画は、まさに今日のパンデミックを予知した作品です。これもコロナ前にCSで何げなく見て怖い思いをしました。地球規模でのパニックを扱っていたのは映画ならではオーバーアクションかと思ったけど、現実はそれ以上のものとなりました。

 非日常が続く中で日常を保つためこういった作品に触れてみるのも一興かと思います。