弁護士 渕上 隆

 昨年9月、安倍元首相の突然の辞任に伴い、菅義偉氏が内閣総理大臣に就任しました。菅首相が目指す社会像として唱えているのが、「自助、共助、公助、そして絆」です。“3本の矢”あるいは“4本の矢”のようで良いこと言っていると思う方もいるかもしれませんが、ちょっと待ってください。「自助」、「共助」、そして「絆」が大切なことは否定しませんが、これらは国民、市民が自ら行うことであって政治家に言われて行うことではありません。「公助」こそが政治の仕事です。菅首相が唱える「自助、共助、公助」というのは、結局、最後の最後にならないと政府は助けませんと宣言しているに等しいものです。しかし、このコロナ禍において、「自助」しようにもできない人も多くいる中、政府に助けを求める声を挙げるのを躊躇させることになるのではないでしょうか? 誰のために政治をするのか、何のために政治をするのか、考えなおしていただきたいです。