弁護士 仲村渠 桃

この裁判については、事務所だより2018年1月号にて第1審の地裁判決の報告をいたしましたが、2019年6月6日、東京高等裁判所にて控訴審の判決が下されました。

結論としては、住民ら(約1000名)に対し約7億6800万円の過去の被害に対する賠償は認めるものの、夜7時から朝7時までの飛行の差止め、及び何度も裁判を起こさなくとも良いよう、将来にわたり賠償金を支払ってもらいたいという将来請求の訴えは退けられることとなりました。

判決では、昨年正式配備されたオスプレイの被害の一部である低周波音による騒音があることを認め,国側が控訴審において重点的に主張していた防音工事住宅の賠償減額についても,国の主張を退け1審の判断を維持するなど、一部住民らの主張を取り入れる姿勢も見られました。しかし、違法状態の抜本的解決策である飛行差止めはまたしても認めず、将来請求についても、横田基地ができて70年以上の長期間にわたり航空機の離着陸等を含めた横田基地の使用状況に変化がないと事実認定したにもかかわらず、結局はこれも認めませんでした。

最初の裁判提起からすでに40年以上が経過し、原告団にも志半ばにして逝去される方が増えています。国の姿勢は、とにかく訴えられたら裁判期間を延ばして、最低限の賠償金さえ払えば良い、訴えの声をあげる住民がいなくなるまで持久戦をすれば良いという不誠実な態度そのものであり、裁判所のこのような判断は国の不誠実性を支持するものといっても過言ではありません。

最高裁においては、このような消極的判断を一新する、住民に寄り添った判決を求め、弁護団としても準備を進めていきます。