[特集 平成の思い出]

弁護士 菅沼友子

 元号には複雑な思いもあるが、一つの時代を表すワードでもある。

 平成20(2008)年はリーマンショックの年。派遣切りが横行し、常勤もリストラされた。大手銀行に勤務していた大学時代の同級生が、人員削減の中で自分の部下の雇用をどう守ったらよいか、相談に来たこともある。「反貧困」の運動がこれまでにない広がりを見せ、「年越し派遣村」で多くの元会社員たちが年を越す様子も大きく報道された。

 それから10年。景気は表向きは回復したように見え、東京オリンピックを前に建設ラッシュが続いている。その一方で経済格差が拡大し、不寛容なムードが世界的に広がっており、今後に不安を抱いたり将来に希望が持てない人が増えているように思う。

 「失われた20年」を含む平成が終わり、新たな時代を迎えることとなる。それを少しでも良いものとするため、一人の弁護士として、また、シニアに足を踏み入れつつある一人の市民として、何ができるのか考えていきたい。