弁護士 新井 章

 ここへきて、安倍政権のウソ・ごまかし・無理無体ぶりが極まれりの感があることは、森友・加計学園問題をはじめとして、今や誰の目にも明らかとなっていますが、その中でも最もひどいごまかし・詭弁・強弁であって、法律家として黙過できないのは、憲法9条の「改正」案です。

 そこで言われているのは、憲法9条1、2項はそのままにして、それに「自衛隊」の保持条項を付け加えるという、粗雑で乱暴極まる提案なのですが、もともと1954年の発足当時から「憲法違反」の軍隊とレッテルを貼られ、「日蔭者」とされてきた自衛隊が、いきなり憲法条項の中に位置づけられたからといって、そのままで「憲法違反」の評価を免れ、「憲法違反でない(軍事)組織」に生まれ変われるというような、“手品”のようなことは法律の世界ではあり得ません。

 自衛隊が「憲法違反」の存在だという批判を免れたいのであれば、批判のモノサシである「憲法」を変えるのではなく、「自衛隊の実体」をこそ「憲法」の趣旨に適合するように、非軍事の(災害救助)組織に改編していく等の方策が正道だと思います。