弁護士 仲村渠 桃

 昨年、刑法の一部が改正されました。今回は、その内の大きな改正点につき紹介致します。

 1点目は、(準)強姦罪を(準)強制性交等罪と名称を改めた上で法定刑の下限を3年から5年に引き上げた点です。この改正により、女性のみならず男性、そしてLGBTなど性的少数者も被害対象とされ、より厳罰化が図られることとなります。

 2点目は、監護者わいせつ罪及び監護者性交等罪が新設された点です。従前、13歳以上の被害者に対する強姦・わいせつの罪の成立には被害者の反抗を著しく困難にする程度の「暴行又は脅迫を用い」たことが必要であり、結果、性的虐待の事案についてはこの要件を満たすことが非常に困難でした。今回の改正により、監護権者(子どもと共に生活しその教育や生活を監護する立場の人です)がその立場を利用してわいせつ・性交等を行った場合には「暴行又は脅迫」がなくとも強制わいせつ・強制性交等罪と同等の罪に問えるようになりました。

 3点目は、これまで親告罪(被害者の告訴がなければ起訴できない犯罪)とされていた(準)強制わいせつ・(準)強制性交等の罪につき非親告罪とされた点です。これにより被害者の負担が多少軽減されることになります。なお、監護者わいせつ・監護者性交等の罪についても同様です。

 以上が主な改正点ですが、昨年7月の施行ということもありこれから実務上の問題が出てくることが考えられます。実態に即した運用がなされているか、これからも注視する必要があります。