子どもにいじめを禁じたいじめ防止対策推進法(以下「推進法」。)の施行から3年が経ちました。昨年度に学校が把握したいじめは約22万4千件で、前年度より約3万6千件増えたそうです。いじめを早い段階で把握して対応ができ自殺や不登校などの重大事態が避けられているなら、増えても問題はないでしょう。しかし、いじめの情報共有が遅れ、被害を感じている子への支援や、いじめを前提とした指導という対応がなければ問題です。この背景には、推進法が一定の人間関係の下で、心理的・物理的な影響を与え、受けた側が心身の苦痛を感じるものを「いじめ」とした問題がありそうです。この広汎な定義だと、告白を断ったり、日常生活での良かれと思っての感想や意見の表明も「いじめ」にあたってしまうことが出てきます。いじめが禁止されている悪いことだと思っている子どもは、苦痛を与えようと思っていなかった行為をいじめとは認めません。受けた子は傷ついており支援が必要な状態にあることは確かで、推進法上の「いじめ」ですが、そこには認識のギャップが起こり得ます。ここに、情報共有やいじめを前提とした対応が遅れてしまう原因の1つがありそうなのです。推進法の定義は、いじめに限らず辛い思いをしている子に支援をする基準と捉え直す必要があると考えるのですが、皆さんはどう思われますか。