あまり新年にふさわしい話題ではないが、ここ数年、自分の人生の終わりをより良いものとするために事前に準備等を行う『終活』が広まっている。関連書籍や「エンディングノート」などのグッズを書店で目にすることも多い。適切な『終活』は相続をめぐる紛争防止にも役立ち、望ましいことだと思う。
 他方、いま法務省の法制審議会で、「相続法制」の見直しが検討されていることはあまり知られていないように思う。残された配偶者について婚姻期間が20年以上、30年以上など一定期間を超える場合にはその法定相続分を増やす、などの案が検討されている。これらの検討が始まった直接のきっかけは、婚外子の相続分を婚内子の半分としていた民法の規定について最高裁が違憲の判断を行い(2013年)、それに基づいて民法が改正されたのに対し、法律婚の妻や子を保護すべきという声が与党の一部から上がったことだと言われている。
 実際、上記の案に対しては、配偶者の相続分を介して婚内子が多く相続することになり、最高裁決定の趣旨に反する、という批判もなされている。
 いずれにしても相続は全ての国民にかかわる問題であり、法制の見直しによる影響は大きい。配偶者の相続分の他にも、自筆証書遺言の方式の定めを緩和する、相続人の配偶者が被相続人の療養看護を行っていた場合など相続人以外の者の貢献を考慮する方策を設ける、など様々な案が検討されており、これからも注視が必要である。