東京国際大学では有名元スポーツ選手を何人も招聘し、キャンパス内に神宮球場仕様の野球場等の豪華な施設を多数設置するなどスポーツに莫大な投資をしていますが、他方、そこで働く教職員は、労働条件が一方的に切り下げられるなど全くの無権利状態に置かれていました。
 そこで、教職員有志は、2012年6月、開学50年弱にして初めて労働組合を結成しましたが、大学側は組合を敵視し、何かと条件をつけて組合との間で団体交渉を行うことを拒否し続け、懲戒処分をちらつかせて事実上組合活動を禁止する通知を発し、組合宛の郵便物を送り主に返送するという嫌がらせを行いました。しかし、労働組合を結成することは憲法上の権利であり、労働組合法は、使用者が団体交渉を拒否したり、組合を弱体化させる行為を行うこと(これらを「不当労働行為」といいます)を禁止しています。
 東京都労働委員会は、組合からの救済申立てを受け、大学に対して、不当労働行為を止め、組合に謝罪文を交付するよう命令を発しましたが、大学側は中央労働委員会に不服申立てをしました。しかし、中労委も組合の主張を全面的に汲み取り、大学側が非を認め、正常な労使関係の確立に努めることを約束することなどを内容とする和解の勧告をしました。大学側はこれを受け入れざるを得ず、組合との間で昨年8月に和解が成立しました。その結果、このたび組合結成4年目にして、ようやく初めての団体交渉が開催されました。
 そこで働く教職員の権利が守られていなければ、いくら豪華な設備を整えても良い大学を作ることはできません。大学側が和解の趣旨を理解、遵守して健全な労使関係の確立に努めることが望まれます。