安保法制の強行を中心とする安倍内閣の憲法無視の政治的混乱の中で、新しい年はあっという間に明けてしまった。しかし我々の戦いが終わったわけではない。『私は声を上げます。だって民主主義は終わってないから。私は傍観者になりたくない。私たちが主権者だから』この昨年11月の天声人語に掲載されていた高校生グループらからの実践を伴う発言こそ、今後の国民のなすべき行動の重要な指針であると心から実感した。
 安倍内閣は、昨年9月19日未明に参議院本会議で安全保障関連法案を野党の反対を押し切り強行採決した。集団的自衛権の行使を前提とする同法案は、戦争の放棄、軍備及び交戦権を否定する憲法9条の国是に違反するだけでなく、もともと国会での十分な議論を無視した閣議決定のみに依拠する違法不当なもので、憲法第3章が、民主主義を基調として明確に保障する国民主権規定の全面否定に他ならない。特に公明党と組んで強行採決した同法案は、事前の国民は勿論、国会での論議・議決を無視した異例のものである。しかも安倍総理は、我が国の国会採決以前に、アメリカ議会で、2015年夏頃には、同法案が成立する旨の事前公約さえした。そうした異常な経緯の中で昨年9月19日未明の参議院本会議での採決は、与野党の怒号と混乱の不正常な議論のみで自民党議員らが野党の虚をつく奇計を行使して強行可決されたあの特別委員会決議に基づいている。しかも同採決は、連日行われた数千から数万の国会周辺での同法案絶対反対の異例の自発的大衆行動をも無視して行っている。
 その後安倍内閣は、又もやTPPや消費税軽減税率等の、現実に破綻している経済政策問題に国民の関心をすり替えようと必死だが、我々は、これらの術策に惑わされることなく、冒頭の高校生グループの発言と行動の精神に立ち返り、来るべき選挙では、国民主権の確立と憲法9条を断乎貫徹すべきである。